【埼玉県・MIYOSHI】監視カメラ開発・レンタル企業が寄付経営で全人類の幸福と平和を目指す

寄付経営にまい進するMIYOSHIの佐藤社長

監視カメラ「G-cam」の開発・レンタルを行う株式会社MIYOSHI(埼玉県・三芳町)は寄付経営する会社として存在感を高めています。

社の行動指針『「全人類の幸福と平和」を目指し「人のために火をともす」行動に徹する』に基づき、今後とも積極的に支援活動を進めていきます。

MIYOSHIは建設現場の生産性向上に欠かせない監視カメラで好評を博していますが、寄付をすることで社員が売上や利益確保に責任を持つといういい循環が生まれているとのことです。

今回は、幸福と平和に高い理想を抱くMIYOSHIの佐藤英吉社長に経営の神髄を、監視カメラについての動向は河合勇一部長に話を伺いました。

目次

寄付する会社を設立した動機とは・・・

2023年6月に人道支援としてUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)に行った寄付に対して「世界難民の日」に紺綬褒章を受章

――MIYOSHIのご紹介からお願いします。

佐藤社長

MIYOSHI は2002年2月からスタートし、現在は監視カメラの製造・レンタルが売上の9割以上を占めています。もともとは電子機器の下請けの製造業でしたが、脱下請けを図り、自社製品の開発に着手しました。2016年に監視カメラ「G-cam」を開発、その多くは建築・土木現場に、ほか物流業界にも利用されています。

――佐藤社長が大切にしておられる「寄付経営」ですが、まずこの「寄付経営」とはどのようなことでしょうか。

佐藤社長

「寄付経営」とは、会社の数値目標は売り上げよりも「寄付すること」を第一に掲げ、そのために出さなくてはいけない利益を設定することです。

当社の行動指針では『「全人類の幸福と平和」を目指し、「人のために火をともす」行動に徹する』で、寄付経営はこの方針に基づくものです。

――なぜ、「寄付経営」を行うことを決めたのですか。

佐藤社長

2001年の夏、つまり会社を設立する半年前に父の会社が倒産した時に、お金でつながっていた人々が手のひらを返して、蜘蛛の子を散らすように去っていきました。一方で心でつながっていた方に励まされサポートして頂いた経験があるんです。

2001年9月には、私の人生に強い影響を与えた、母校の創立者にお会いしました。その際に母校では卒業生の経営者が在校生を経済的に支援するグループを形成していたことを知りました。

そこで自分もその一員になりたいと希望し、サポートしてくれた同級生、地域の方への恩返しの気持ちもあり、起業しました。ただ会社を立ち上げたからといっても簡単に売り上げが伸びるわけででもなく、最初は個人からスタート。ようやくここ数年、売上も安定してきました。

平和、教育、文化など6つの分野で寄付活動

レンタルして使い終わった「G-cam」を三芳町に60台寄贈、町の防犯に役立ててもらい、再活用につなげる活動も

――どのような分野で寄付を行っていますか。

佐藤社長

「寄付経営」について社員と共有し、いろんな方と議論した結果、平和、教育、文化、環境、福祉、スポーツの6つの分野に寄付先を選んでおります。

2023年から寄付先の目標を最上段に掲げ、それを達成するためには、会社としても利益や売り上げの確保につとめることが肝要で、会社としての寄付の数値目標を示しています。

――どのような分野で寄付を行っていますか。

佐藤社長

大元は理念経営です。この寄付を通して理念を再確認することがよくあります。。寄付をするとウクライナ情勢について国連UNHCR協会の方が来社され説明をしてくださったり、NPOカタリバ(東京都杉並区)の方が子ども食堂の現状を解説され、伝えてくださったりすると、さらに私どもも「寄付経営」について頑張ろうと思うようになります。

これが社員から「社長、もっと売り上げや利益を出して寄付につなげましょう」という声につながり、いいスパイラルが起きているんです。

「人のために火をともせば 我がまへあきらかなるがごとし」※を経営理念に掲げていますが、私はこの実践を社業としています。

※人のために火をともせば 我がまへあきらかなるがごとし・・・他者のために行動をすることが自身の成長をもたらすという意味。出典は日蓮大聖人の御書本文。

――これまでどのような寄付活動をされてきましたか。

佐藤社長

2001年で父の会社の倒産でも心の中から負けん気が湧きあがり、立ち上がった大きな理由は、高校・中学時代の教育にあります。「負けじ魂ここにあり」という学校特有の哲学や理念があり、今でも心の支えです。そこで教育事業の寄付からスタートしました。

小学校・中学校で当社の製品を組み立てて、発送作業までを行い、「G-cam」がどこで使用されているかの体感作業も実施しました。毎年恒例になっています。中学生にはこの活動に加えて、「起業とは何か」「何のための経営か?」という講義を行い、講師をさせて頂いております。

また、コロナ禍では、アクリルのパーテーションが入手困難な時期があり、飲食業も大変な思いをされていた時のことです。我々も1セット(10枚)で9,800円(税抜)という簡単なパーテーションを発売しましたが、これを全国の飲食店に送る運動を開始、外のパッケージに社員の応援メッセージを添え、全国に1万3,000枚を送りました。泣きながら感謝のお電話やお手紙などが寄せられました。

パーテーションを寄贈し、全国の飲食業から感謝の声
社員全員の応援メッセージをデザインした段ボール箱

――海外にも寄贈されていますね。

佐藤社長

はい。地震、戦争、子どもの貧困などの現状を知る中でもっと広くバランスが取れた寄付が必要だと考え、さらに広がっていきました。

最近ではアフガニスタンに寄付をしています。金銭的な支援により地域医療施設の再構築に使っていただいています。

現地では、長い戦争で校舎がなく青空教室※で教育を受けています。日本で役目を終えたランドセルを現地のお子さんが喜んで使っていただいている話を伺いいました。

不要になったランドセルをアフガニスタンの子どもたちに贈る事業「思い出のランドセルギフト」に取組む公益財団法人ジョイセフ(東京都新宿区)の活動にMIYOSHIも賛同し、地元の三芳町の町立唐沢小学校など全町立小学校5校に呼びかけ、同財団とともに寄付事業に取り組む「マゴコロ・ランドセルプロジェクト」を結成しました。

この5校から集まったランドセルは70個に及び、ランドセルの梱包と輸送費は当社が負担しました。

※アフガニスタンの青空教室・・・長く続く紛争やテロ、避難民の流入などにより、校舎のない場所で学ぶ生徒は多い。

地元小学校と協力しランドセルをアフガニスタンに寄贈

ランドセルの寄贈式を地元の小学校で開催

――貧困の連鎖を断ち切るためには何よりも教育ですのでこうした活動は重要ですね。

佐藤社長

私は親に連れられてフィリピンに行ったことがありました。観光客がドブに投げたコインを子どもたちが必死に拾う光景を見て衝撃を受けました。現地に行くことは難しいですが、貧困の姿を映像か何かで見ることはやはり重要です。この世から貧困を無くそうという考えに至って欲しい思っています。

文部科学省は、意欲と能力ある全ての日本の大学生や高校生が、海外留学に自ら一歩を踏み出す機運を醸成することを目的として、2013年に留学促進キャンペーン「トビタテ!留学JAPAN」を開始しました。当社は、「トビタテ!留学JAPAN」のスポンサーもしています。

この社内版を立ち上げ、社員のお子さんが中高大で1回ずつ海外留学できる制度を創設しました。先日、第1号のお子さんが、ロサンゼルスに1週間ホームステイで滞在し、先日帰国されました。

その子はガラリと変わり、将来はアメリカの大学を目指したい、他の国も見てみたいと意欲的になりました。この社内制度がなければ、アメリカに行かなかったと話していました。世界を見ることは人生を変えることにもつながります。

起業の楽しさを教える起業教育も

――中学生や高校生に向けて起業教育の講師もつとめられているとのことですが、手ごたえはいかがでしょうか。

佐藤社長

多くの起業教育は、「そんな甘くない」というところから入っていくことが多いです。確かに起業は苦労もありますが、私自身はるかに楽しい経験もたくさんしてきました。自分がどれだけ楽しいことができるかをむしろ強調して教えています。


私が行っている理念経営を子どもたちに伝えると、今の若い子も単に食べていければいいと思うだけではなく、社会貢献をしたいと強い意志を持つ子がいます。、それが起業と結び付くのだと話すと、目を輝かせる子もいますね。

核廃絶の活動の夢で会社立ち上げも検討

MIYOSHI本社
佐藤社長

実はもう1社、9月に会社を立ち上げようと考えています。今年3月に高校を卒業し、卒業後は9月にアメリカの大学に入学予定の女性が核廃絶を望んでいます。そのためには起業し、イーロン・マスクのように実力を蓄え、発言権を持ち核兵器の廃絶を訴える夢を持っています。MIYOSHIが出資する準備をしています。

社名は仮ですが、「核廃絶株式会社」。核廃絶をすれば儲かる事業の立ち上げに成功すれば、核兵器の製造よりも核廃絶に向かうはずです。社会貢献は無理しながらすると続かないので、楽しく儲かる事業にしていきたいと考えています。

遠隔臨場で監視カメラの導入進む

操作性などで強みを持つ「G-cam」

――話は変わりますが今、建設業の2024年問題で生産性を向上することが必須になっており、そこで貴社の監視カメラ「G-cam」が活躍されているとお聞きしました。

河合勇一部長

G-cam」は電源を入れるだけで、遠隔で映像を見ることができ操作も容易です。最近、現場監督も条件を満たせば複数の現場を管理できるように緩和されています。そのキーになるのが遠隔臨場(えんかくりんじょう)です。監視カメラを使えば、その現場に常駐しなくても立ち会うことができ、コミュニケーションも取れるようになります。

監視カメラの映像を複数の発注者、現場管理者、納品者で画面共有し、目視で確認していた作業を遠隔臨場でかなり効率が図れるようになりました。

遠隔臨場・・・ウェアラブルカメラやネットワークカメラを活用し、現場に行かずとも離れた場所から臨場を行うこと。具体的には「材料確認」「段階確認」「立会」を遠隔で行う

――「G-cam」を使われた顧客からはどのような声が。

河合勇一部長

一回ご利用いただいたお客様からは「イイね」「また今度使わせてもらうよ」とリピートされることが大変多いです。手軽さ、操作の容易さ、また素早い納期などが好評です。また、サポート体制も今はチャットやメールが多いですが、現場では「今、回答が欲しい」と要望される方が多いことから、当社では電話でサポートしている点も評価を得ています。

自社製品なのでローコスト・ハイパフォーマンスを自負しています。製品とはオーバースペックにならないことも重要でコストパフォーマンスも含めて現場でご満足いただける商品に仕上げています。

ポケットサイズのウェアラブルカメラをリリース

新たにリリースされた、ウェアラブルカメラ「G-POKE(ジーポケ)」

――現在、「G-cam」はどれだけご利用されていますか。

河合勇一部長

基本的にはレンタルで北海道から沖縄まで全国7,000台を稼働。近々1万台、そして2030年には4万台を目指していきたいと考えています。

――今回、新商品もリリースされましたが。

河合勇一部長

電源一つでカンタン起動し、コンパクトなのに大きな役割を果たす、ウェアラブルカメラ「G-POKE(ジーポケ)」をリリースしました。電波の有無にかかわらず本体のみでも録画でき、クリアな映像が24時間確認可能、操作も簡単で安価な価格からレンタルできます。

操作の簡単さという「G-cam」のコンセプトも継承しています。現在、圧倒的に建設業のお客様が多く、外に設置する「G-cam」。一方で身に着ける「G-POKE」は現場監督が現場を歩きながら使っていただき、オンライン上でチェックをし映像を共有し説明するような使い方を想定しています。

ただこの製品ついては建設業向けだけでなく、鉄道の駅員、警備員、物流業界へといろいろとアプローチをしたいと思っています。4月から実証実験をスタートし、6月10日から本格的な出荷作業に入りました。

「G-cam」のウェアラブルタイプの要望がかねてよりあったため今回のリリースに至りました。「G-POKE」の目標は2030年までで1万台です。

――導入された、ある警備株式会社からはどのような声がありましたか

河合勇一部長

導入効果をヒアリングしましたが次のような評価をいただきました。

・警備員の行動や発言の裏付けとなる映像を確保でき、トラブルの防止に役立てられる。

・本部がリアルタイムで現場の状況を把握でき、迅速で的確な指示が可能になる。

・違反行為や迷惑行為の映像記録を、警察や行政への通報・報告に活用できる。

寄付経営」の実践から普及へのステージに

――今後、監視カメラで新たな方向性は。

佐藤社長

これからはAIとの連動を推進していきたいです。これまでは映像を映し出していくことに留まっていましたが、AIと連動することで、ヘルメットをかぶっていなかったら注意を促すなど、現場の省力化につとめていきたい。

――寄付経営の今後の方向性は。

佐藤社長

寄付経営を自分たちで実践するだけではなくこの素晴らしさを周囲に伝えることは肝要です。収益確保と社会貢献という相反しているようにみえる目標の両立を行う企業をゼブラ企業といいますが、この良さを普及していきたいです。そしてゼブラ企業の次のステージ作りとして、さまざまなことに挑戦していきたいと思っています。

株式会社MIYOSHI

代表取締役佐藤英吉
住所〒354-0045 埼玉県入間郡三芳町上富1916-10 
TEL049-274-6776
「G-cam」公式サイト https://gcam.jp/
「G-POKE」公式サイトhttps://gcam.jp/g-poke/
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