美容室向けにヘアカラー剤などを製造し、メーカー直販で販売している、愛知県名古屋市に本社を置く株式会社ムーランエムーラン。
一般的な白髪染めやヘアカラー剤に含まれる酸化染料「ジアミン」によるアレルギーでかゆみ・痛み・発疹・腫れなどの皮膚症状を起こすケースがあります。仮にジアミンアレルギーと分かったら、安全のためにジアミンを含んだヘアカラーを中止しなければなりません。
それではジアミンアレルギーになったら、二度とヘアカラーを楽しめないのでしょうか。ムーランエムーランは、「ジアミンアレルギーの方でも髪色を楽しむよろこびを。」とアレルギーの原因となるジアミンなどの酸化染料の使用ゼロの商品“NODIA(ノジア)”を開発、現在、取扱いヘアサロンは約3,700件に及んでいます。
今回、開発にあたった株式会社ムーランエムーラン企画開発部門商品企画開発リーダーの前田徹さんにお話をうかがいました。
「美容師が希望を持って働けるサロンづくり」に貢献
—まずムーランエムーランさまのご紹介からお願いします
当社は2003年に設立。美容室向けにヘアカラー剤・パーマ剤・ヘアケア商品等を製造し、メーカー直販・オンライン通販形式で販売をしています。
髪の美しさを長く保つことにこだわり、ダメージ軽減に特化した商品を提供しています。
“ムーランエムーラン”という社名は、フランス語の『風車と水車』に由来。自然の力を源にし、新しいエネルギーを作り出す『風車と水車』のごとく、“お客さまを美しくしたい”一つひとつの想いを大切に受けとめ美容業界で働くすべての方の幸せのために、「美容師が希望を持って働けるサロンづくり」に貢献します。
ノンジアミンタイプのトリートメントカラーに挑戦
名古屋発のブランドとしての挑戦については
多くの美容師さまから「お客さまでジアミンアレルギーの方がいてカラーが難しい」といった悩みの声が多くあり、ノンジアミンタイプのトリートメントカラーの開発を始めました。
そもそもサロンカラー市場の中で、ジアミン系の酸化染料を使用しないトリートメントカラーで白髪染めが少ないのは、1回で白髪を染めることが難しいからです。市場では徐々に染める商品はありますが、お客さまは美容室にお越しいただき、1回で染めることが大切です。
ノジアの開発でも1回で染まる目標レベルになかなか到達しませんでした。トリートメントカラーだけでは染まりを向上させることに限界があったため、ブースト剤で納得の染まりを実現可能にしました。
単純にブースト剤を多く入れればよく染まるわけではなく、少ない量で刺激やダメージにならないよう負担の少ない設計にたどり着くまでが苦労した所でした。
染まり以外にも、「頭皮が染まってしまう」などの問題がありましたが、何度も検証・検討を重ね、開発を始めてから3年でようやく“NODIA(ノジア)”が完成しました。
ジアミンアレルギーで白髪を放置するケースも
白髪染めのビフォアー(左)とアフター(右)
ジアミンアレルギーとは、一般的な白髪染めやヘアカラー剤に含まれる酸化染料「ジアミン」によって引き起こされるアレルギーのことです。このジアミンアレルギーにより、ヘアカラーの際にかゆみ・痛み・発疹・腫れなどが起きます。
このようなアレルギーの発症は「コップに少しずつ水を注いでいるとやがてあふれてしまうこと」にたとえられます。これまで何の問題もなく白髪染めやヘアカラーができていた人でも、急にアレルギーを発症するリスクがあります。
発症の確率は、ヘアカラーを繰り返すほど高くなり、皮膚科医を対象にした調査では、ジアミンなどの酸化染料が原因の「アレルギー性接触皮膚炎」と診断される方で、40代以上が67.3%と全体の約7割を占める結果があるんです。
定期的にヘアカラーをされている方の中には、ジアミンアレルギーに気が付かない方も多く、症状が長引き、重症化する場合もあり、注意が必要です。年齢を重ねるとヘアカラーをされる頻度も増えますし、ご自身では気が付いていない方もいらっしゃいます。
一度このようなアレルギーになると、一生その体質が続いてしまうといわれており、ジアミンを含む白髪染めやヘアカラー剤では染めることができなくなってしまいます。
そのため、白髪を放置するか、ノジアのようなノンジアミンカラーを使用するしかなくなってしまいます。
まだ、アレルギーを発症していない方は、アレルギーの発症リスクを軽減するために、ノジアを使用してヘアカラーを行うことも有効です。
ジアミンなどの酸化染料の使用ゼロの商品を開発
ーーなかなか大変ですね。ご高齢の方であれば、白髪染めができなくなるのはつらいことだと思います。ジアミンアレルギーを防ぐ方法はありますか。
ジアミンアレルギーを起こさないためには、次の方法が有効です。
・ヘアカラーの頻度を下げる。
・ノジアなどのジアミンを含まないカラー「カラートリートメント」「ヘアマニキュア」などでカラーを行う。
・頭皮があれているときはヘアカラーを避ける。
また、自身がアレルギーかどうか知ることも大切なので、事前にパッチテストを行うことも有効です。
パッチテストはヘアカラーにかぶれる体質かどうかを調べるためのテストで、ヘアサロンやご自宅で行うことができます。
パッチテストは、髪を染める48時間前に行う必要があり、実際に染めようとしているヘアカラー剤を使い、テスト部位の観察はテスト液塗布後30分位と48時間後の2回行います。
詳細は、日本ヘアカラー工業会等のサイトをご覧ください。すでにジアミンアレルギーの症状がでているかもしれないという人は、皮膚科専門医に相談することをおすすめします。
ーーそこでアレルギーでもヘアカラーを楽しめる製品の開発が話題になりましたね
「ジアミンアレルギーの方でも髪色を楽しむよろこびを。」とアレルギーの原因となるジアミンなどの酸化染料の使用ゼロの商品“NODIA(ノジア)”を開発しました。現在、全国で約3,700件のサロンで取り扱いいただいております。
ノジアは、ジアミンアレルギーで染めることを諦めていた人も白髪染めなどのヘアカラーを楽しんでいただけます。また、ノジアを使用することでアレルギーリスクや頭皮への負担を減らすことができます。さらに、トリートメントベースの商品なので、カラーの繰り返しによりダメージした髪やブリーチ毛も、やわらかくなめらかな手触りに仕上がります。
商品開発にあたってはジアミンアレルギーにお悩みの方でもヘアカラーや白髪染めを楽しめる商品をつくっていきたいとの想いがありました。
私は長年、カラー剤の開発に携わってきましたが、ジアミンアレルギーの方と接するだけではなく、カラー剤の頭皮刺激に悩み、「染めたいのだけれど頭皮に刺激があり、思ったように染められない」という方も多くいて、ノジアはこうしたお悩みを持たれる方にも解決する商品と自信を持っています。
※他の要因でかぶれることもあります。すべてのアレルギーには対応していません。
美容業界向けに普及へ全力
ーーこれから、サロンへの普及が楽しみですね。そこで美容業界へのアピールを
まだジアミンアレルギーについてご存じない方も多くいらして、カラー剤を正しく使用しなくてはいけません。
また、白髪染めをしたいけれど、ジアミンアレルギーがあり染めることができないという方は全国にいらっしゃいます。
ジアミンアレルギーについて正しい知識を持ち、適切な対応ができる美容師の方が増えればと思い、美容師の方を対象にジアミンアレルギーやノジアについてのセミナーを開催してきました。
よりたくさんのお客さまにヘアカラーを楽しんでいただくためにはまず美容師の方にノジアについて知っていただきたいと考えております。
ノジアやジアミンアレルギーについて正しくご理解されることで美容室の質も向上し、エンドユーザーの頭皮リスク軽減につながっていきます。
アレルギーでお悩みの方、あるいは症状が現在は出ていませんが、将来的に悪化される可能性のある方に、ノジアはとても有効ですし、今後、自信をもって広めていきたいです。
ーー最後に今後の展開を教えてください
ジアミンアレルギーはまだまだ一般の方はもちろん美容師の方でも知らない方が多いです。
自分がジアミンアレルギーだと気が付かずにヘアカラーを行い、アレルギーの症状を長引かせたり悪化させたりしてしまっているという人も多くいらっしゃいます。
ジアミンアレルギーについて知っていればアレルギーの症状がでることに対応することができます。ジアミンアレルギーについて多くの人に知ってもらい、今まで諦めていた方もヘアカラーを楽しんでもらえるようにしていきたいと考えています。
また、お客さまのニーズに合わせて商品展開や啓発活動を続けていきたいです。
商品改良も引き続き実施するほか、商品の幅を広げていきたいです。
美容室の店舗数は全国で約27万軒といわれ、コンビニよりもはるかに多い軒数です。より多くの美容室でノジアのファンを増やしていければうれしいです。
会社概要
社名 | 株式会社ムーランエムーラン |
本社 | 名古屋市中村区椿町16-8 |
設立 | 2003年9月3日 |
代表者 | 代表取締役社長 中田 博 |
社員数 | 35名 |
公式ノジアHP | https://m-moulin.jp/product_brand/nodia/ |
公式美容師専用のWEBサイト | https://m-moulin.jp/business/ |
公式Instagram | https://www.instagram.com/moulin_et_moulin/ |
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