共有名義不動産の売買、仲介のほか、相続が絡む複雑な不動産取引を数多く扱っているCENTURY21株式会社中央プロパティー。相続の際には兄弟姉妹で不動産を共有するケースは少なくなく、今後、日本全体での高齢化の進展により、共有名義の不動産がますます増えると予測されます。
ところがこの一つの不動産を複数人で共同所有する共有名義不動産にはさまざまな落とし穴もあり、不動産の相続が原因で兄弟げんかに発展し、口もきかない関係になることもあります。
そもそも相続にかかわる兄弟姉妹は年齢的にも50代から60代が多く、これからの老後を考えると、不動産を売却して少しでも多くの現金を確保したい思惑も・・・
そこで中央プロパティーは、共有名義不動産のトラブル解決を専門的にサポートしています。トラブル解決の方法として、実際に多いのは自己持分の売却で、松原昌洙社長は独自の投資家とのネットワークにより、少しでも高い売却可能なノウハウを持っています。
「お客さまの自己持分を少しでも高く売却したいというご要望について、投資家とのネットワークをもとに実現しています」と語る中央プロパティーの松原昌洙社長に話をうかがいました。
CENTURY21株式会社中央プロパティー
松原 昌洙社長
トラブルになりやすい「共有名義不動産」とは!?
――まず、本日のテーマである「共有名義不動産」からうかがいます。
共有名義不動産とは、その名の通り複数の人が共同で所有する不動産です。共有者それぞれが定められた割合で不動産を所有し、共同で権利や責任を持ちながら管理を行います。最初に理解しておきたい単語が「共有持分」と「持分割合」の2つです。「共有持分」とは、共有名義不動産を共有する権利を指し、共有持分の権利割合を「持分割合」といいます。
夫婦共同でマイホームを購入するケースは、共有名義不動産の代表的な事例の一つですが、私どもに持ち込まれるご相談内容は、ほぼ9割相続がきっかけで共有名義不動産になったパターンです。図1で説明しますと、実家を3人の兄弟で相続し、共有持分を各1/3ずつ所有している状態です。
中央プロパティーでは、共有名義不動産全体の売却ではなく、自分の所有権のみ、つまり、「共有持分」の売却を専門的にサポートしています。相続不動産の専門会社として、共有名義不動産、借地権など相続時にトラブルになりやすい不動産を中心に扱っております。共有名義不動産や借地権は、通常の不動産に比べて権利関係が複雑で、法律や不動産の高度な専門的な知識が求められます。そのため、弁護士、司法書士や税理士など各種専門家と連携しており、迅速な問題解決を行うため、昨年からは社内にも専門弁護士を常駐させています
――たとえば、相続人3人のうち、1人は「不動産を売りたい」、残りの2人は「売りたくない」というような事例はありますでしょうか。
中央プロパティーにご相談に持ち込まれる事例はほとんどそうです。そこで兄弟げんかに発展し、口もききたくない状態になるケースもありますが、そもそも連絡先もわからないというパターンもあります。当事者同士では解決が難しくなりますので、中央プロパティーが間に入り、持分を売却することで共有状態の解消に向けてサポートします。
これからすべての団塊の世代が後期高齢者に入り、相続の発生件数が増えますから、共有名義不動産がますます増えることが予測できます。
――今のお話は、首都圏、中京圏、近畿圏の都市部の住宅のお話だと思いました。それとは逆に地方の過疎地でできれば、他の兄弟に引き取って欲しい「負不動産」もあり、このようなケースのご相談もありますか。
こうした共有名義不動産の事例は首都圏に限らず地方でもあります。それが深刻化している空き家問題に発展しており、政府も民法改正し、「相続土地国庫帰属制度」という、引き取り手がいない相続不動産を国に帰属させる制度が作られました。
自己持分のみであれば、他の共有者の同意なしでスムーズに売却可能
――先ほどの話にありましたように兄弟3人で相続した実家を1人が売却に前向き、残りの2人は「売りたくない」ケースもあります。そうした場合、どのように解決されますか。(図2参照)
トラブルの解決方法は共有状態を解消する点にあります。一番早い解決方法は、自分の権利のみ、つまり「共有持分」を売却することであり、中央プロパティーでは、その点を主にサポートしています。
図2にあるように両親が死去し、実家を3人の兄弟で相続したとします。相談者のAさんは、活用予定のない不動産を売って現金化したいと考えています。
誰も住んでいなければ不動産を全体売却し、3人で売却代金を分割する手法もあります。しかし実際には、両親のそばでずっと介護し、献身的に面倒を見ていたBさんのような兄弟がいるケースが多いです。そうなると両親が死去したとはいえ、当然のことながら住み続けたいとの希望もあります。
だいたい相続を経験される方のご年齢はおおよそ50代後半から60代前半あたりですよね。この年齢の方々はご家庭を築き、それぞれ住む住宅を確保されている状態が多いのです。そこでBさんがAさんとCさんの持分を買い取ることができれば問題ないですが、実際には金銭的な事情を理由に、Bさんが買取に合意しないケースが多いです。また、Cさんが「Bが実家に住み続けることに納得がいかない」、「賃貸に出して家賃収入を得たい」などと主張しはじめた日には、三人の意見をまとめることは容易ではありません。共有名義不動産の活用を巡って、意見が割れてしまった場合、「自己持分だけを売却し、共有状態を解消すること」が実は、最も現実的なトラブル解決方法なのです。
共有状態を解消するためには、名義を1人にするか、全員の合意のもと、不動産を全体売却する、あるいはこの共有状態を解消するため、自己持分のみを売却する方法が主な選択肢になります。中央プロパティーとしては、ご相談者様のご意向を尊重しながら、最も望ましい解決方法をご提案しています。
ただ現実には第三者に介入してもらっても、当事者同士では解決できないほど揉めていることがほとんどです。そのため、自己持分をできるだけ高い価格で売却し、共有状態からの解放を望んでいるお客様が9割です。
「自己持分」を好条件で販売できるノウハウは投資家のネットワーク
――独自のノウハウにより、他社よりも「共有持分を高く売却できる」ということで御社に相談が持ち込まれているとのことのようですが。
当社は、CENTURY21という不動産ネットワークの一員で、その独自ネットワークを活用し、約900名の投資家を募り、「この共有持分を購入しませんか」と情報発信します。一般市場であれば、共有持分を購入してもそこに居住できませんし、活用できませんから、よくある不動産情報サイトに掲載しても買い手は見つかりません。
そのため、多くの不動産会社では、共有持分の査定額は安価になるか、そもそも権利関係が複雑な共有持分のみの売却は、断られるケースがほとんどです。当社は持分のみを売却したい売主と、利回り物件として購入を希望する投資家を早期にマッチングさせる仕組みとして、独自の入札方式(ポスティングシステム)を構築。投資家の方は収益を長期的な目線で見て投資されます。たとえば、共有持分の購入後に他の共有者に対して、持分の売買交渉や収益を上げるための不動産の活用提案を行います。この入札方式では一番高い価格を提示された方と、売買が成立するシステムですから、安く買い叩かれることなく、他社よりも高い価格で売却できるのが大きな違いです。
――この投資家の方々の属性を教えてください。
一般企業の役員の方が多いです。通常、不動産の購入では銀行から資金を調達する手法が多いですが、共有名義の不動産は銀行からのファイナンスがつきません。たとえば、都心の1棟ビルの共有名義では数億円の価格になりますが、基本現金での購入になり、それだけの余剰資金をお持ちの方、つまり、資産管理会社をお持ちの会社役員の方か、法人が投資のために共有持分を購入されるケースもあります。
――投資家が共有持分の不動産にアンテナを張った理由はどこにあるのでしょうか。
投資家の方々は、「私はゴールドのみ投資する」と「私はゴールド、個別株、FX、暗号通貨、不動産といろいろなものに投資する」の両タイプがいらっしゃいますが、共有持分の投資家は後者の方が多いです。
資産を多くお持ちの方で、いろんなところに投資され、全体のポートフォリオの中で共有名義不動産について余剰資金で投資をされている方がおり、「全体の30億円の投資金額のうち、3億くらいなら投資しても良いよ」とのことです。投資家のポートフォリオは、当社が把握していますので、資産の入れ替えは定期的に実施されています。ポートフォリオの入れ替えのタイミングで投資家に、「こういう共有持分の物件がありますが、いかがでしょうか」と提示させていただいております。
投資のタイミング的に約10年のスパンという長期で検討される方もいれば、Aさんの共有持分の購入後、すぐにBさん、Cさんの共有持分も相次いで購入し、短期間でキャピタルゲインを確保できるケースもあります。
――改めて投資家が共有名義不動産の共有持分への投資に注目されている理由をうかがいたく思います。
昔と比べて市場に共有持分の物件が出回る件数が増えているのが大きな要因だと思います。昭和と令和を比較すると、親族間の関係は良好ではありません。昔であれば、お盆や正月では本家に集まって情報も共有されたこともあったでしょう。昭和ではありえないトラブルが最近では当然の出来事のようになっている時代背景もあります。
たとえば、「昔であれば親族間では争ってはいけない、何が何でも長男の意向に従い話をまとめよう」という同調圧力のような文化が強くありましたが、令和の時代は、「この条件は飲めない。揉めるのは仕方がないよね」と個々の権利をしっかりと主張する時代に変化しています。
特定建設業許可を取得の狙いについて
――このほど、特定建設業許可を取得されましたが、トラブルを解決した後の不動産をリフォームし、また平地にして改築される業務を請け負う意図はございますか。
そうですね、今、お話にあった不動産の改築、リフォーム業などの施工を請け負っていけば望ましいとは考えています。
――会社の今後の方針はいかがでしょうか。
トラブルを包括的に解決できる体制を整備していきたいと考えています。相続不動産を扱っている他社ではよく弁護士や司法書士と提携している点を強調されていますが、あくまで提携に留まっていますのでサポート力が弱く何かあった際のトラブル解決にも時間がかかります。当社は自社内で弁護士を抱えているのでトラブルもスピーディーに解決しているのが特徴です。今後ともトラブル解決のサポートを厚くしていく方針です。
次に、投資家のポートフォリオを確認しますと、動かせる金額も変動します。たとえば、昨年は10億円の余剰資金がありましたが、大部分を別の投資に投下され今年はほとんどの余剰資金がない方もいらっしゃいます。私どもも投資家のポートフォリオをもとに余剰資金や実際に動かせる金額を確認します。
そこで、投資家の数だけを考えるのではなく、より多くの金額を投資できる方への情報提供の強化も必要です。投資家の方々については数から質への転換を考えたいと思っています。
会社概要
会社名 | 株式会社中央プロパティー(英語名:Chuo Property Co.,Ltd) |
代表取締役 | 松原昌洙 |
所在地 | 東京都千代田区丸の内1丁目6番5号 丸の内北口ビルディング23F |
事業内容 | 不動産エージェント事業、不動産開発事業、総合建設業 |
公式HP | https://www.chuou-p.co.jp/ |
メディア | ・相続不動産専門メディア やさしい共有持分 https://www.c21-motibun.jp/ ・相続不動産専門メディア やさしい借地権 https://www.century21-sell.jp/ |
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