働き方改革につながるITツールを提供する株式会社Colorkrew(カラクル)。2018年から今や決済に欠かせないQRコードを活用したビジネスコンシェルジュツールColorkrew Biz(カラクルビズ)を開発、東京都庁など各有名企業など900社以上が導入中です。
Colorkrewでの注目点は、社内風土がオープンで働きやすいところ。さらに「性格の良い会社」にもランキングされるなど社内のスタッフの性格の良さは実感しているとColorkrewの鳥越 紘子(とりごえ ひろこ)さんはいいます。
Colorkrewはコロナ禍前からオープンな働き方を実践。住む場所は個人の事情により可能で、たとえば鳥越さんは当初、新潟県在住でしたが、配偶者のアメリカ赴任と伴い、同行。その後もアメリカで引き続きColorkrewで働き続けています。
これが一般の企業であれば普通にフェードアウトするか、休職を余儀なくされるところですが、Colorkrewだからこそこの働き方が実践できると鳥越さんは語ります。
そんな多様な人々が集まるColorkrewの魅力的な働き方について、鳥越さんに話をうかがいました。

株式会社Colorkrew
鳥越 紘子さん
SaaS系のプロダクト開発に注力

――株式会社Colorkrew(カラクル)さまの会社概要からお願いします。

Colorkrewは2020年3月に設立しましたが、母体となった会社は1999年10月の創業ですので25年の歴史があります。従業員は116名で本社は、東京・台東区です。
本来、ゲーム関連で設立した会社で、株式会社ISAOという社名で、ゲーム好きな方なら覚えていらっしゃるかもしれません。その後、ゲームからエンタープライズ向けのクライアントビジネス、SIer(エスアイヤー)とビジネスの方向性が変わり、現在は自社でプロダクトを開発、製品を販売中です。
株式会社ISAO設立後、豊田通商株式会社グループの傘下に入り、2019年10月から独立し、2020年6月には現社名に変更しました。元々のゲーム関連のビジネスから、直近では自社で注力したいビジネスに向かっています。そのため、これまで実施してきた事業も譲渡し、よりプロダクトビジネスにシフトしています。
クライアントビジネスの方が歴史も長く、売上も高いのですが、その中から市場のニーズを拾いながら、SaaS※のビジネスにつながるようなプロダクトをつくるような活動を展開しています。
※SaaS・・・サービス提供事業者(サーバー)側で稼働しているソフトウェアを、インターネットなどのネットワークを経由して、ユーザーが利用できるサービス。
導入団体・企業900社以上のColorkrew Bizとは!?


――たとえば具体的にはどのようなソリューションを提供されているのでしょうか。



2018 年から QR コードを活用したビジネスコンシェルジュツール Colorkrew Biz(カラクルビズ)を提供しています。QRコードを使い、座席、備品など社内で使う、モノや場所をすべて管理ができるサービスです。業種・業態問わずさまざまな企業にご活用いただいています。
同サービスが普及促進のきっかけになったのはコロナ禍。コロナ禍では、リモートワークも推進され、そのオフィスも同規模であり続けるかとの議論もあり、オフィスを縮小していくと座席もしっかりと運用することが必要でした。出社もリモートを併用していましたから、誰がどこで働いているかを可視化する必要があったのです。フリーアドレスに対して、誰がどこに座り、リモートは誰が行うのか把握が重要です。そんな時、各社は、カラクルビズを活用し、解決できたことはインパクトが大きかったですね。



また、コロナ明けでもリモートワーク、フリーアドレスを併用した働き方は続けている企業も多く、オフィスの大小にかかわらず、引き続き誰がどこで働いているかの把握は重要です。そして備品についても以前はAさんに聞けば分かるという属人的なことでしたが、Aさんがリモートだったら貸し出せない問題もありました。
フリーアドレスで人を探す時間、スケジュール調整、備品管理、郵便物の送付など社内の煩雑な業務をカラクルビズで解決したソリューションとして多くの企業から選ばれているのが現状です。利用企業からのヒアリングでは、カラクルビズ導入で、100名につき、年間550時間の工数削減を実現し、導入コストや労力を抑制できる点も大変好評を得ています。
私は今、ミシガン州で業務を行っていますが、しっかりと社内での連携を可能にしているのも、カラクルビズのお陰です。今、東京都庁、丸紅株式会社、株式会社みずほ銀行、株式会社大林組など900社以上の企業・団体で導入済みです。
――企業風土から、カラクルビズというソリューションも生み出されたとうかがいました。



私がミシガン州で働いているようにColorkrewは住む場所を個人の事情により、どこでも可能にしています。ただ、ハイブリットワークを実践する中で「名もなき仕事」といわれるように社員に、現在このような仕事をしていると伝えづらい、スキマ仕事は数多く存在し、業務に支障を来たしているという課題からカラクルビズは誕生し、他社にもニーズがあると考え、普及促進につとめています。
新潟県時代は月2日の出社でしたから、出社した際はなるべく多くの方とコミュニケーションを取りたいと考えていました。Colorkrewはフリーアドレスですが、仮にAさんがある席に座っている時は、カラクルビズで確認できますから、Aさんの隣の席を確保し、コミュニケーションを図る試みもしました。
私もアメリカで時差はありますが、仕事をしている時はクリックして、アメリカで働いていることが分かると、連絡も来ます。ツールがあると便利で働けます。
グローバル化で世界に打って出る


――組織づくりではどのような点を心がけていますか。



日本だけではなく、世界に打って出ることを軸とし、社員も外国人のメンバーが増えています。現在は、約3割が外国人ですが、最近、中途入社しているメンバーは日本人よりも外国人の方が多く、グローバル化で進展し、公用語も英語です。拠点ではたとえばブラジルで営業メンバーがおり、現地で活動中です。
組織的には非常にオープンかつフラットで運営しています。そのため、外部に社内組織を説明すると大変驚かれるほど、さまざまな情報がオープンになっており、たとえば社内で昇給された方、社内の売上、利益などの社内成績、今後、会社が行うべき方針もみんなが把握できます。会社によっては限られたメンバーのみで情報がクローズになっている場合がありますが、具体的な数字についても社員に開示し、アクセスできる環境です。
――以前、OpenWork(当時:Vorkers)の「性格のいい会社ランキング」第9位に選出されたとうかがいました。



私は中途入社して感じたことは、社員の皆さんは本当に性格がいいと感じました。一般的な企業では普通、いじわるな人は何人かいるようですが、Colorkrewは人格者が集まっているように感じました。
――先ほど、オープンな働き方を実践されていたわけですが、その点についてはいかがですか。



Colorkrewの入社はコロナ禍でした。その頃は新潟県在住で就職先を探していた中で、東京の会社で働いていた経験もあるので、幅広くチャレンジングな仕事を探すと、東京の会社になると考えていました。当時は月に何回か東京へ通いつつ、リモートワークの働き方を実現できると期待し、仕事を探していましたが、運がよくColorkrewを見つけて、就職しました。
初日はパソコンを取りに本社に出社し、挨拶もした後、顔を合わせて仕事をすることも大切なこともあり、月に2回ほど本社に出社。
その辺は、オープンな企業風土もあり、人事やチームの方が情報発信をされるので、自分が新潟県在住でのリモートワークの働き方については社員皆さんに情報を共有いただきました。そのため会社に順応するのも早かったですね。
働き方でいえば、週2日はなるべく顔をあわせて一緒に仕事をする流れにはなっているのですが、小さいお子さんや介護しなければならない方がいれば、それぞれのご家庭の内実に配慮され、多様な方がいらっしゃる中、皆さんで協力して働いていく企業風土が強く、よりよい働き方をみなで模索していく姿勢です。


――オープンであるがゆえに、いろんな方が意見を発信されていると思いますが。



全員で集まる朝会や報告する会議もありますが、なんでも質問してよいことになっています。カラクルビズとは異なるプロダクトを使用し、面と向かって、「なんでこれはこうなんですか」と聞きづらい場合もあります。匿名の質問機能を使い、事業の責任者が回答することになっています。
代表が毎週金曜日にTGIF(ティージーアイエフ)というミーティングを開催。そこではなんでも質問してよく、私も入社して間もない時に参加し、直近の業績の話などなんでもフランクに質問できる場が結構あるんです。
――コミュニケーションに伴うストレスはありますか。



私の性格にもよりますが、コミュニケーションに伴うストレスはほとんどなく、実に仕事がしやすいですね。私は仕事をスムーズに進めるためにも多様な人とコミュニケーションが取れる性格ですが、ただ、世の中いろんな人がおり、忙しい時には、「今は話しかけないで」とのオーラを出す方がいます。
Colorkrewの社員はどんなに忙しくても人柄がよい方なので、驚くほど速く返事をいただけます。私は管理部門を担当し、営業やエンジニアリングスタッフに質問する機会がとても多いのです。「仕事が忙しそうだけれど、今質問しても大丈夫かな」ともやもや感はあったのですが、Colorkrewであればほとんどなく感じよくご返事をいただけます。
性格の良さにつながるのですが、コミュニケーションが取りやすいことは業務が円滑に進むキーになっています。


――話は変わりますが鳥越さんの業務内容を教えてください。



経営企画にかかわり、メインの部分は来期の計画を策定し、来期の予算を分析し、報告も行います。ほか経理の業務をサポートし、IPOに向けて準備中ですので、監査法人、証券会社とのやりとりなどもあります。
さきほど、ブラジルでの海外展開を説明しましたが、同地でも同様にカラクルビズをはじめとする当社のプロダクトの販売に注力する営業メンバーが在籍していますが、ブラジルビジネスの業績や困ったことがあればサポートをしています。
――上場はいつ頃を想定されているのでしょうか。



上場はゴールではないというのが代表の考えです。必ずいつまでに上場すると目標に決めているのではなく、自分たちのビジネスや事業の成長、そして上場のメリットをコンビネーションで考えた時に、どのように上場するのがベストかを考えた上で進めています。
――ミシガン州で業務を行っているとのことですが、イメージを教えていただけますか。



サマータイムが終わり、今は冬時間ですので、日本との時差は14時間です。日本の朝の9時が夜の7時になり、ミーティングの際は日本の朝9時から開始し、アメリカの日中時間は、日本の社員は退勤されます。アメリカ時間の朝8時から、娘が帰宅する時間まで、夜に少し打ち合わせなどがあります。早朝出勤か夜遅くまで残っている残業されている方と時間的には重なります。
働き方の満足度が高く、能力を発揮
――働き方の満足度も相当高いと思いました。



そもそも新潟県でリモートワークで働かせてもらえることはほぼないと考えていたところでしたが、これはColorkrewの多様性で許容していただいたことは本当にありがたいことです。個人それぞれがベストを尽くし、それが評価されている会社です。
新潟県から、夫のアメリカの出向により、私もそれに同行しましたがColorkrewとしてはアメリカでもリモートワークができるか考えようと言ってくださったことはとても嬉しかったです。Colorkrewは機会を活用し、より組織の多様性が深まり、チャレンジしていく企業風土が強まっていっています。
自分としては新潟県で採用していただいただけでもありがたいのですが、アメリカでも継続して働き続けられたことは予想以上のことでした。
――普通、配偶者の方がアメリカに赴任することが決まれば、おおよそその会社を退任されることが多いと思うのですが。



私と同様なケースで現地の方と意見交換すると、会社を退任されるかあるいは、一時期休職されるオプションがあるようです。しかし、そのままアメリカでも働けるケースは本当にそうそうないんだなと実感しているところです。
外国人社員や女性社員の比率を増やすことは、ニュースになっていますが、介護や子育ての事情などさまざまな環境でありつつも、Colorkrewなら働けます。このルールでなければ当社では働けませんというよりはいろんな方がいる中で、個人の諸事情を受け止めて働ける環境を模索する点を人事としても取組んでいます。
多様性を重視し、グローバルに向け価値観をアップデート


――『多様性の科学』(マシュー・サイド著)では、複数の視点で問題解決にあたる強さを指摘した本ですが、Colorkrewさまはまさにそれを実践した企業のように思いました。



やはり、自社のプロダクトもいろんな人が集まることで改良がしやすい。もし多様な組織であれば、「これができるようになったらさらに集客ができる」という複数の意見が出るようになります。逆に単一性の組織であれば、プロダクトの開発だけではなく、組織の運用についても同様ですが、偏ってしまいます。
外国人も含め、「ここが変だよColorkrew」ではありませんが、多様なツッコミがあれば、会社にとってもメリットがあり、多様な意見があった際は、しっかりと受け止め、みんなで議論するのがColorkrewの企業風土です。
英語を公用語とし、グローバルにチャレンジ
――これからチャレンジングしていきたいことは。



グローバルに発展していくことが一つの大きなテーマです。そのためにメンバーも英語のレッスンを受けるなどの努力を重ね、社内の全社ミーティングはすべて英語にする変更が直近でもありましたが、会社としては日本のマーケットではなく、グローバルな市場を獲得し、発展していきたい。
初弾としてはブラジルでプロダクトを販売中ですが、改善提案を顧客からなされています。今、アメリカに在住ですが、グローバルに知名度を向上できるような自分としてもスキルアップにつとめていきたい。
アメリカにはさまざまな展示会があり、SaaS系のプロダクトはやはりアメリカが最先端です。展示会を通して、アメリカのSaaS系プロダクトをリサーチし、日本のメンバーと協力し、貢献していけばアメリカでも仕事を続けさせていただいた恩返しもできると考えています。
会社概要
会社名 | 株式会社Colorkrew |
所在地 | 〒111-0041 東京都台東区元浅草三丁目7番1号 住友不動産上野御徒町ビル5階 |
代表取締役 | 中村 圭志 |
公式HP | https://www.colorkrew.com/ |
公式Facebook | https://www.facebook.com/colorkrew/ |
公式X | https://x.com/colorkrew |
公式Instagram | https://www.instagram.com/colorkrew/ |
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